「うn…?」 眩しい、視界がぼやける、体が軋む 「ご主人様っ!」 「愛紗?みんなも…どうしたんだ一体」 徐々に周りがハッキリと見えるようになってくると、ここが自室であることがわかった 部屋の隅で知らない男がこちらを見ていた。誰だろう…他国の兵士…にしては服装が奇天烈だな 翠がその男と何か喋っているが、ここからではよく聞こえない。男はそのまま立ち去ってしまった 「紫苑、あの人は誰だったの?」 「あの男は華陀という者で、たまたま曹操が呼び寄せていたのです」 少しずつ、少しずつ思い出してきた。確か魏が交流会という名の飲み会に来てたんだっけな… さらに記憶の糸を辿ってみる。そうだ、鈴々と夏候惇との喧嘩に割って入って… そこから記憶が無くなっている。大方巻き込まれて気でも失ったんだろうか? 「愛紗、あのさ…なんでここに居るんだっけ?」 「ご主人様…大丈夫ですか?」 「いや大丈夫!心配そうな顔しないで!ちょっと忘れちゃっただけだからさ」 「鈴々とあの夏候惇との喧嘩に割って入った華蝶仮面の攻撃が頭に直撃しまして…」 現実は想像を凌駕した。それにしても華蝶仮面ってなんだっけ? ………思い出せない。頭に霧がかかったみたいにスッキリしない すると誰かが俺の顔を覗き込んで声をかけてくれた。その娘の笑顔には申し訳なさそうな表情が隠れていた 「やれやれ主、頭を打って気絶とは鍛錬が足りないのでは?」 「………………………………………………」 「主?」 「…可愛い」 うっかり漏らした本音に愛紗が梟のように首をグリンと回した。どうなってんのその首 「今お兄ちゃんが星のことかわいいって言ったのだ!」 「ごっ、ご主人様正気ですか!?いくら頭を打ったからと言って…」 「やれやれ愛紗、正気とは酷い言い方だな。フフフ…これでは愛紗に呪われかねないな」 「星っ!私はご主人様のことを案じてだな!」 星というのか…たぶん真名だろう。そしておそらく俺にもその名を呼ぶことは許されてるはずだ 「星…聞いてくれ」 「突然真面目な顔をしても似合ってませぬぞ?」 「俺と夫婦になってくれ」 世界が凍りついた気がした 俺はすべての経緯を話した。星のことを忘れてること、星のことが愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しいこと みんなの反応は様々。驚く者、からかう者、あと下唇を思わず噛み締めてしまい血を流す者が一名 「ご主人様は頭を打ったせいであのようなことを!…断じて本心ではない!」 「いや俺は結構真面目だk」 「ご主人様は黙ってて下さい」 「………」 「愛紗、私もそこまで言われると傷つくではないか。私と主はもはや男女の仲なのだぞ?情が芽生えても当然のこと」 「男女の…!」 「仲ってやっぱり…!」 興奮しすぎた軍師二人を紫苑が別室に移動させてくれた。さすが年長sy妙齢な人だ。それにしても俺と星はそこまで関係が進んでたのか 「しかしな星、記憶が無いと言っているのだから頭に異常があったのは事実であろう」 「怪我を負う前からのことを私は言っておるのだぞ?あと、いい加減血を拭け」 「俺が誰を愛そうと俺の自由なんじゃ…」 あっ、愛紗さんその梟みたいな首の回し方マジやめてください、夢に出ます 愛紗は、子供くらいなら殺せるんじゃねぇ!?ってくらい星を睨みつけている 一方の星はというとニヤニヤ笑いながら顎を親指で摩っている。その余裕たっぷりの仕草が尚更愛紗を苛立たせているのだろう でも星は何をしてても可愛いよ 「もう一度ご主人様の頭を打っちゃえば解決したりして〜」 ちょ…蒲公英それ死亡フラグだって… 結局愛紗と星が大暴れして俺の自室は損壊。俺は一人城内を彷徨っていた。あの部屋に居たくなかったんだよ… 「おや、主はそんなとこで何をしておられるのかな?」 「星こそ、そんなとこで何してるんだよ」 星は見張り台に上って徳利片手にこっちに手を振っていた。可愛いなぁもう 「星、俺も行って良いかな」 「狭いですぞ?」 「願ったり叶ったりさ」 見張り台に上ってみると、下では宴会が行われていて、修羅場と化していた 具体的にどう修羅場というと、夏候惇と鈴々を愛紗が追い掛け回してる。それも血走った目で 「ふふっ、今アレに見つかったらタダでは済みませんな」 ……………………………………………………… 「しかし、それを肴にして飲む酒というのも悪くないかも知れませぬ」 ……………………………………………………… 「…主?」 「あっ、ごめん聞いてなかった…」 「やれやれ、私にでも見とれてましたか?」 「…………」 「図星のようで。本当なら怪我などという理由で好意を寄せてもらうよりかは、普通に愛して欲しかったのですが」 「でも、頭を打ったせいかはわからないけど、星のことを好きなのは本当だよ」 「主、この国の中で一番の女を決めるとしたら誰ですか?」 「星」 「……やはり主は頭を打って狂ってしまったのかも知れませんな。以前の主は順位などを付けず、皆を平等に愛していた」 俺は変わってしまったのだろうか…ハハハクレイジー。そんなことがあるものか、 「俺は俺だよ。例え狂ってても俺に変わりない、それとも狂ってたら俺のことを嫌いになったりする?」 「…ま、良いでしょう。いつかは治ると信じて、今は甘えさせてもらいますかな」 そう言って星は狭い見張り台の中をゴソゴソ動き、俺の背後に回る 「星…?」 星は俺の肩に顎を乗せ、背後から抱きしめてきた。これが甘えるってヤツか…!恐ろしい破壊力だ 「主は浮気性で、あちこちに愛をばら撒いては皆を困らせていたのですぞ?自覚なさってもらいたいですな」 星の言ってることが半分も頭に入らない。心臓の鼓動があまりにも大きすぎて星に伝わってるかもしれない 「主殿聞いておりますか?」 ええい北郷一刀、何を躊躇っている!星がこんなに甘えてきてるんだぞ!これはつまりOKってことじゃないのか!? OKってことはアレだよな、つまりその…OKなんだよな!?ってああ俺ナニ考えてんだ! 「いやでも以前の俺は星と『関係』があったみたいだし星だって拒まないと思うしそもそもこの時代において(中略)」 「さっきから何をブツブツと言っておるのですか」 「ナニだって!?」 「何です」 ……………………………………………………… 上手く言えないかもしれない。できるだけ短く、それでいて要点を確実に伝えないといけない 「星…」 俺は振り返って星と見つめ合う。星の瞳の中に居る俺を見る 「今晩星の部屋で寝て良いかな…?」 俺は狂ってるのかもしれない、正気ならここまで星のことを好きにならなかったのかもしれない それでも良い。狂ってても俺は構わない。俺が正気か正気じゃないかなんてどうでも良いじゃないか、些細なことだ 「ふふ…主は本当に英雄肌ですこと」 これはOKという返事として受け取っても良いのかな!?良いよね!! 「もちろん狂わせてくれるのですな、主殿」 「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!俺のハンマーがコネクトだぁぁ!」 (本当に狂っている…) この後の展開は全年齢にならないかも知れないので「ジョン」と検索したら良いかもよ? これが星の部屋…今の俺にとっては初めて見る部屋。女の子の生活してる匂いがする… 星の匂いかな?胸一杯に吸い込んで、吐き出す。この深呼吸を5セット行うことで肺が浄化される気がする 「主殿…本当に大丈夫で?」 星が不安そうな顔で覗き込む。射精した 「星や!星や!星や!星や!」 「ひっ!」 「星やーーーーーーーーー!」 「ちょ、主…乱暴は…その…ああっ!」 あーもう切れた。俺の中のナニかが切れた。今すぐ星を泣かせたい 俺は星を抱きしめてそのままクルリと体を反転。俺が下になるようベッドへ倒れこむ 星は涙目になって、怖くなったのか目をギュっと瞑った 本日二度目の射精 「ジョン」 「主?」 「ああ、いやなんでもない。都合上言わないといけなくてさ」 「また気がふれたのかと思いましたぞ?」 「へへっ…」 「照れない照れない」 朝日が眩しいな、もう朝か…。 結局あの後星が本気で泣き出したので三度目の射精を迎えた後、キスまではOKだということで一晩中キスをした キスだけでは寂しいので抱きしめた状態で二人で喋り、夜を明かした 「さあお姫様、お目覚めのキスだよ」 「主、いつまでもふざけてられないのでは?飲み会のため後回しにした仕事、今日仕上げると聞きましたが」 そういいながらも星は笑顔を崩さない。その笑顔のおかげで何かの気力がモリモリ沸いてきた気がした ああ、時が止まれば良いのに そして二人の時間は愛紗のモーニングコールで終わりを迎えたのであった