「うっし、今日はここまで。みんなお疲れさん!」 『王朝に求心力なく、もはや民を統べる力なし』 反董卓連合の一件は漢王朝の弱体化を露呈させるものとして民の目に映った。 そういえば虎牢関の戦いの後うちの軍には恋こと呂布と霞こと張遼が将として、 詠こと賈駆と音々音こと陳宮が軍師として、 月こと董卓が小間使いとして華琳に仕えることになった。 恋にしろ霞にしろ武人としては超一流だし、そもそも呂布と張遼っていったら三国志を知らない人間でも名前くらい知っている。 天下無双の呂布に人馬一体の張遼。 そうだ、霞に乗馬教えてもらったら曲乗りできるようになるかな? 話は戻って、王朝の弱体は国の混乱を招く、というのは高校の世界史でやったことだ。 歴史は繰り返すってやつ。 漢王朝が倒れればその後釜を狙って兵を起こす奴が各地ででてくる。まぁ我が主、華琳もその一人なわけだけど。 世はまさに世紀末・・・ごめん、言いたかっただけ。 しかし各地で英傑たちが世を憂いて軍を率い戦をしようが俺のすべき事に変わりは無いわけで。 つまり、こうして新兵の教育をしながら、町の治安の維持に務めているわけなのだ。 「特殊部隊とはいったものの・・・この旗って一体なんの役に立つというのですか?」 今回行っていた訓練は手旗信号による伝令の訓練だ。 元々音の通じにくい海軍で使用されている方法だが、こっちに来てすぐに作った望遠鏡と組み合わせれば案外遠くまで有効なようで、 この世界で行われているほかの伝令方法よりは迅速に命令の伝達は行えそうだった。 ただ素人の俺が考えた合図ではどうしてもややこしい部分が出てきてしまうため、一般兵全員に覚えさせる、というのは無理な話だった。 そこで思いついたのが先の特殊部隊だった。 特殊部隊育成について華琳から許可はでているが、凪をはじめ、部下にはあまり詳しく説明していない。 一応極秘で育成する、という建前だけど、本当は錬度の低い部隊を当てにして実際の戦場で混乱することを防ぐという意味で、 あとこれをいったら絶対怒られるから黙ってるんだけど、説明がめんどくさいからさ? だから凪達以下の兵士は訓練の概要を殆ど知らない。 「俺の元いた世界じゃ割りと一般的な伝令方法なんだよ。こっちじゃ発声か書状による伝達だろ?  それじゃどうしてもタイムラグ・・・・あ〜・・・なんていうんだ?時間差?が出来ちゃうからさ。  もっと迅速に、かつ正確に行きたいとこであって・・・でもな〜・・・まだ実戦じゃ使えないよな・・・」 「なぜですか?見たところほぼ伝達できていたようですが・・・」 「やっぱり伝達率かな。命令一つで助かる命も助からなくなるからさ。10割伝達できて初めて使えるもの。  そうは思わんかね凪君?」 「たしかに、仰る通りではありますが・・・」 「それにあれだ。いまの人数だとわざわざ旗を使わなくても声だけでほぼ伝わるっていう・・・  でもそのうち使う機会もあるだろうから一応訓練だけはしとかないとってわけさ。  ところで凪達に頼んでおいた訓練のほうは順調か?」 「はい、本隊とは別に警邏予備部隊にはそれぞれ命令通り真桜による技術教育と沙和による文化教育ならびに私が無手の捕縛術を教えております。  しかし、これは何の訓練なのですか?」 「あれ?そっちはちゃんと説明したと思ったんだけどな・・・」 「ちゃんと説明って・・・隊長は『そいつら警邏用の人員らしいからこういう教育しといて』って言っただけではありませんか・・・」 「そうだったっけ?でも警邏用の人員用教育プログラム・・・あ〜プログラムってなんていうんだ?  なんていうか、指導要綱みたいなもんだ。最低限の技術と教養の育成って言うか、そんな感じ。」 「技術や文化の教育は理解できるのですがなぜ無手なのですか?」 「だって武器持ってると町の人怖がるんだもん。」 「え?それだけなのですか?」 「うん。今でこそ乱世だから兵士は武器を取って戦場に赴くわけだけど、それが終わったら武器を持って歩くのが不自然になる日が来ると思うんだ。  だからそのときのためにさ。」 「・・・・・・前にも申し上げたと思いますが、やはり隊長は変わったお方ですね。」 「やっぱりこんな隊長じゃ不安か?」 「いえ、そんなことはありません。真桜たちも口では文句を言っていますがしっかり仕事をこなしておりますし、  きっとやりがいを感じて仕事を・・・」 そういいさして、 凪の後の言葉が続かなかった。 それもそうだろう。 目の前には明らかに仕事をサボって喫茶店でくつろいでいる真桜たちがいるのだから。 「お、隊長訓練終わったん?」 「お疲れ様なの〜」 のんびりとだれている二人とは裏腹に後ろから強烈な寒気を感じる。 むしろ、殺気だなこれ・・・ さらに残念なことに真桜たちの座っている場所から凪は死角になっている。 つまりどういうことか、もう想像できただろう? 「隊長お勧めの茶屋って聞いて来てみたんやけど、なかなかええ感じの店やん?」 「隊長って案外おしゃれさんかもなの〜」 「・・・・・・・・・おい二人とも。長くて5秒だ。それ以上持たないぞ。最近真面目に仕事してるっていうから今日だけは許してやろう。  ・・・俺が振り向いたら全力で逃げろ。いいな?」 「ふ〜〜〜た〜〜〜〜り〜〜〜〜と〜〜〜も〜〜〜〜!!!」 「へ?」 「え?」 「・・・いくぞ?逃げる準備はいいか 待て凪話し合おウボァァァァァァァァ!!」 あわれ貧弱な隊長は凪に吹き飛ばされてしまいました・・・・・・ もっとちゃんと鍛えないとダメだね・・・ 「・・・ということで袁紹はこれ以後北ではなく南に勢力を伸ばしてくることのなるでしょう。」 「では次に狙われるのは・・・劉備たちではなく私達ね。国境の兵士達に万全の体制で警備に当たるように通達して頂戴。」 「は、仰せのままに。」 「それから、袁術のほうの動きは把握しているかしら?」 「特に大きな動きはありません。我々や劉備の国境を偵察する兵士は散見されますが・・・その程度です。」 「あれも相当な俗物だけれど・・・動かないというのは気味が悪いわね。そちらも警戒を怠らないようにしなさい。」 「はっ、そちらはすでに指示をだしております。」 「・・・・・・・・・・・・ハッ!凪にぶっ飛ばされた気がしたけど気のせいか!?」 「気のせいではないわ。部下に跳ね飛ばされて気を失うなんて情けないにもほどがあるわ。」 「そんなこと言ったって・・・イテテ・・・アバラ折れてないよなこれ・・・最近は結構鍛えてるんだけどねぇ・・・  そもそも出発点が違うっていうか、到底追いつける気がしないっていうか、凪たちにも勝てる気がしないんだよな〜」 「それを情けないといっているのよ。郁々は将として前線に立てるようにと凪たちを配属したというのに、  その部下達に先を越されてもいいというの?」 「それこそ信賞必罰だろ?出来る奴はどんどん出世すればいいさ。  今の地位でさえ分不相応だっていうのにこれ以上どうしろっていうだ?」 「己の力も解さない者に勝機はない、とでも言っておこうかしらね。  あなたはこの曹孟徳の部下なのだから。」 「・・・肝に銘じておくよ。」 「では軍議はここまでよ。全員、準備は怠らないようになさい。」 「ところで一刀、あなた、軍議は聞いていたのかしら?」 「ん?公孫賛が袁紹に負けてその袁紹が攻めてくるだろうから警戒を怠るなってことだろ?」 「・・・・・・・あなた、本当は起きていたのね?」 「さぁね〜それじゃ警邏にでもいってくるよ」 「・・・・・・・・まったく、あきれた男ね・・・」 その少女の表情がいつもの呆れ顔とは違うことに気づいた者は その場にはいなかった・・・ その軍議から数日とたたないうちにことは起こった。 「・・・・・・Zzz・・・Zzzz・・・・・Zz・・・」 ギイィィィィン!ギイィィィィィィン! 「ええ加減にせえよ!華琳が兵を動かすないうてんねんからやめろや!」 「えぇいうるさい!袁紹ごときに華琳様の領地を穢させてたまるものか!」 ギィィィン! 「あぁ、もう埒が明かん!はよ誰か華琳呼んできてぇな!」 バアアァァァァァァァァァァァァン!!! 勢いよく宿直室の扉が開け放たれた。 「!!!うぉ!ズズッ やべ、涎垂れてたか?寝てない!サボってないよ凪!」 「なにを昼間から寝ぼけているのですか隊長!喧嘩です!正門付近で春蘭様と霞様が喧嘩しているので急いで向かってください!  私はこのまま華琳様を呼んで来ます!」 「なんだと、わかった!なるべく急いでくれ!」 「わかりました!」 そういうなり凪はそのまま華琳を呼びに走っていった。 さて、霞と春蘭の喧嘩だと・・・? 仲裁に入って俺の体は大丈夫なのか? しかしそんなことを気にしているほど猶予はなさそうだ。 「当たって砕けろって・・・まさかこの年でそんな覚悟の仕方するとはな・・・」 とりあえずいくしかないってことで。 今度こそアバラは覚悟しておくか・・・ 「ほんま強情なやっちゃなぁ・・・そっちがその気ならこっちにも覚悟があるで?」 「ほう・・・ではあのときの決着、ここでつけさせてもらおう・・・いくぞ霞!」 「かかってこんかい!」 ギィン!ギギィン! 「・・・喧嘩じゃなくてもはや殺しじゃねぇか・・・  おい!二人ともやめろ!落ち着いてまず話をしようじゃないか!」 「うっさいでぇおっちゃん、もうこうなったら止められへんぞ!」 「貴様は引っ込んでいろ北郷!」 二人の気迫は鬼気迫るものだった。 それこそ気当たりで吹っ飛びそうなくらいの気迫である。 実際なぜか集まっている春蘭の部隊のうちの何人かは気を失いかかっている。 戦場に出て場数は踏んでいるであろう春蘭の部隊が、である。 そこからでも二人の本気度は十分伝わってくる。 が、さらにすごいのは撃ち合いのほうだ。 一合ごとに空気が震えるのが伝わってくる。 二人が刃を打ち合わせるたびに猛る気合が炸裂する。 これ本当に俺が止めるのか・・・? はぁ・・・春蘭相手かぁ・・・ ・・・・・・・ところで、なんで二人はこんな壮絶な殺し合いしてるんだ? 「なぁなぁ、そこの君、なんで春蘭たちこんなことしてんの?」 「はい、つい先ほど緊急の会議があったようで、  なんでも袁紹が大兵力でこちらの一番手薄な城に向かっているとことらしいです。」 「はぁ!?じゃあなんでこの二人こんなことしてるんだよ?」 「それが、城から増援は不要、との連絡が入ったいたらしく曹操様も増援は出さない旨の伝達を出したのですが・・・」 「あぁ・・・オーケーオーケー、大体わかった。」 それでも華琳様一筋春蘭ちゃんは我慢できずに飛び出そうとして霞がそれを止めて・・・ こんな大喧嘩になるかバカ! 「どうしたらいいでしょうか・・・」 「あぁ、いいよ、華琳が来るまでに俺が何とかしよう。  いちおう衛生兵呼んでおいてね?」 「ええで、ええでええで自分!血が滾ってくるわ!」 「当たり前だ、私をだれたと思っている!」 何合目ともつかない打ち合いの末、二人は鍔迫り合いをしている。 行くなら今しかないな。 「ほなこっからもうちょいっと速度上げていk・・・」 「行くぞ霞!引導を渡しくれr・・・」    そこで 「ふたりともいい加減に         俺は両手の拳骨を振り上げて  しろ!!!」             二人の頭に打ち下ろした。 後に阿蘇阿蘇の取材に対して夏侯惇隊の兵士Aはこう語る。 「北郷ですか?一応同期なものでよく知っていますよ。えぇ、そうです。普段はなんと言いますか・・・そう、昼行灯とでもいいましょうか。  全然目立って何かするってわけではないんです。  ですからあの時もあの場をどうにかできるなんて考えてもいませんでしたよ。  だって相手は魏中で一二を争う二人ですよ?  目の前で起きたあの光景は・・・えぇ、いまでも信じられません。  拳骨を二人の頭の上に落とすなり、いきなり“そこに座れ!”ですから。  あんな北郷見たこと無かったですよ。いつもにこやかにしてる北郷の目が据わってるんですよ?  それに気がついた二人もただ事じゃないって気がついたんでしょうね。それはもう驚いていましたよ。  なんていうんですかね、あぁ、そうだ、悪戯が親にばれた子供、みたいな表情でしたね。  そこから15分くらいですかね?あ、分っていうのは北郷がよく言う時間の単位なんですけど。  説教ですよ説教。なんていったかな・・・あ、そうだ。  “二人とも大怪我したらどうするんだ!悲しむ人がいるんだぞ!それがわからないのか!”  “だいたい華琳の命令なんだろ?春蘭は華琳が信じられないのか!霞も霞だ!すぐにカッとなるのは悪い癖だぞ!”  見たいな事をいってましたね。  あれは聞いてるこっちも痺れましたよ。北郷の真剣な顔って始めてみたかもしれないですからね。  えぇ、そうですね。まるで子供が心配で心配でたまらないお父さんのようでした。  そのすぐ後ですよ、曹操様が到着したのは。  唖然としてましたね〜いや〜楽進さんといい曹操様といい、後にも先にも見たこと無いだろう顔をしてましたよ。  事情はすぐに飲み込めてなかったようですけど、とりあえず夏侯惇将軍に少し話を聞いてすぐに兵士300を連れて城に向かえ、  残りは張遼将軍について盗賊討伐に行くように指示を出してその場は解散になったんですが・・・  そのあとですよ、最高に痺れたのは。  出発しようとする二人を呼び止めて、抱きしめながら  “春蘭、霞、ちょっと言い過ぎた、すまん。必ず無事で戻ってこいよ”  ですよ!?  あんなことさらっといえるなんてクサいやらカッコいいやらで・・・  こいつには適わないなって思った瞬間でしたね。」 春蘭たちが出発したその夜、自然と足は城壁の上に向かっていた。 そこには案の定というか、先客がいた。 「お、季衣たちも来てたのか。」 「あ、おじちゃん!」 「はい、どうも季衣が眠れないらしくて・・・」 「そりゃそうだろうな。季衣は春蘭好きだもんな〜(カイグリカイグリ」 季衣たちはあの騒ぎが終わった直後に盗賊退治から帰ってきた。 季衣は春蘭の話を聞いてすぐに飛び出していきそうになったのだが、もちろん華琳がそんなこと許すわけない。 「心配なのはわかるけどさ、二人とも早く寝るんだ。」 「だって・・・春蘭様のことが気になって眠れないんだもん!」 「あぁ、わかった、わかったから泣くなって。  大丈夫だよ、春蘭が出かけるときにちゃんと無事に帰ってくるって約束したから。  春蘭は普段はあんなだけど約束はちゃんと守るだろ?だから大丈夫だよ。」 「それはわかってるんだけど・・・やっぱり心配で眠れないよぁ・・・」 「ん〜、じゃあこれだったらどうだ?  春蘭のこととなるとあれだけ取り乱す秋蘭がこれだけ落ち着いていられるんだ。  なぁ、秋蘭?」 「あぁ、そういうことだ。明日も早いのだからそろそろ部屋に戻るんだ。」 「あっ!秋蘭様!」 「いらっしゃっていたのですか?」 「あぁ、下から二人が見えたものでな。出発の時にいなかったから心配しているだろうとおもって声をかけに来たのだ。  さっき北郷が言った通り、姉者は約束は違えん。ちゃんと帰ってくるさ。  そうだろう?“お父さん”?」 「・・・・・・年上をからかうんじゃないよまったく・・・」 「・・・ねぇ!みてあれ!あっちの煙!あの旗印って」 「はい!夏侯です!春蘭さまが帰っていらしたんですね?」 「おぉ、思ったより早かったな。」 「うむ。きっと戦っていないのだろう。では我々も門を開けて待っていないとナ。  季衣、流琉、華琳様を呼んできてくれ。」 「「はい!」」 「さて、俺はそろそろ寝るかな。」 「何を言っているんだ、ちゃんと娘を迎えにいってやらなければダメじゃないか“お父さん”?」 「・・・はぁ、わかった、わかったよ・・・わかったからそれやめてもらえないか?」 「フフ・・・まぁ気が向いたらな。」 「春蘭さまっ!」 「おぉ、季衣か、心配をかけたようだな。」 「お帰り姉者。」 「見た感じ無事っぽいな春蘭。」 「あ、あぁ・・・特に戦闘もなかったしな・・・ところで・・・その・・・いや、なんでもない。」 「出迎えご苦労だったわね春蘭。」 「はっ、ただいま戻りました。」 「それで、あなた達が郭嘉に程cね?では今回の件、説明してもらおうかしら?」 「「・・・はっ!かしこまりました」」 「・・・・・・・・・ん?まじか!」 その後全員が招集されて緊急の軍議となった。 どうやら袁紹が攻めてきた、という報告は俺以外には全員に伝わっていて、知らなかったのはその場にいなかった俺のみだったらしい。 やっぱ軍議ってサボるもんじゃないね! 「・・・といわけで援軍を出されてしまうと逆に危険な目にあう確立が上がってしまうわけですよ〜」 「なるほど。それで?郭嘉は程cの作戦をどう見たの?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・プッハァーーーー!!」 「!?なんだ!?」 「救護の者をよべ!救護ー!!」 「あ〜、やっぱりでちゃいましたか〜ほら稟ちゃん、とんとんしますよ〜とんと〜ん」 「大丈夫だ、すまん風。失礼しました。」 「大丈夫かしら、郭嘉とやら。」 「あぁ・・・曹操さまに心配していただいている・・・・・・ぶはっ!」 「衛生兵!衛星へーい!!!」 「・・・・・・程c、代わりに説明を・・・」 「はいはい、稟ちゃんは最悪の事態の場合は城に火をつけて逃げればいいって考えていたようですね〜  兵700ならばそれも可能ですし。」 「それで増援はいらないといったわけね。見事な指揮だったわ、程c、郭嘉。」 「ありがとうございますー」 「・・・・・・ふがふが」 「二人とも今後は城に戻らずここに残り、私の軍師として働きなさい。」 「華琳さま!それはっ!」 「別に桂花が不要というわけではないわ。軍も大きくなってきたし、詠や音々音も軍師とはいえ表舞台に立たせるわけにはいかないわ。  そうなったとき、将がいくらいても軍師が足りない、ではすまされないわ」 「ですがっ!」 「くどいぞ桂花、お前最近全然寝てないだろ。」 いいながら桂花と肩を組む。 「ちょ!いきなり何するのよ精液魔人!離れなさい!離れなさいってば!」 「華琳もお前が不要だって言ってるんじゃなくてお前を心配してるんだ。なぁ?」 「えぇそうよ桂花。もしそれがわかっていないようならば・・・フフ、今晩イヤというほどわからせてあげてもいいのだけれど?」 「ほら、華琳もこういってるぞ?」 「いいから離れなさいってば変態!孕む、孕むわ! 「か・・・華琳さま・・・」 「では一刀、そういうことだから流琉とその二人を部屋まで案内してあげなさい。桂花、行くわよ。」 「了解。」 「というわけで案内をすることにはなったんだが、まずはお礼を言いたい。  ありがとうございます。」 ・・・どうしたことだろう、流琉はおろか二人まできょとんとしていらっしゃる。 「・・・・・・?」 「どちらさま・・・でしたっけ?」 「あれ?・・・覚えてないかな?陳留の街外れで君達に殺されそうになったんだけどな・・・。」 「んー、ちょっと思い出せないですねー」 「はて・・・そんなこともあったような・・・」 「あの時は間違えて真名でよんじゃって殺されかけたんだけど・・・まぁ覚えてないならしかたないな。  君達のおかげで俺はいまこうして生きてるわけだからとりあえずもう一度、ありがとう。」 「いえいえ、お気になさらずにー」 まさかこんな形でこの娘達と再開を果たすとは思わなかったな。 世の中は本当に狭い。 なんせしがない一般人の俺が曹操や夏侯惇と肩を並べているんだからね。 そりゃ狭くも感じるか。 「・・・ま、なんにせよよろしく頼むよ。お二人さん。せいぜいこき使ってくれ。」 「よろしくなのですー、お兄さん」 こうして命の恩人の二人と再会を果たした。 しかしのんびりとした日々の向こう側に聞こえる乱世の足音に いまだに俺は気がついていなかった。