今思い出してみると、あの時の隊長はどこまでも本気だったんだなって思います そう、あれは仕官してから初めて兵を率いての戦闘・・・ 黄布党が街への襲撃を企てているとの情報が入ったのは、ちょうど春蘭様や季衣様達が居らず、 城には私達と3人と隊長、秋蘭様しか居ない間の悪い時でした side ちんこ 兵「申し上げます!」 ち「もう遅い時間だってのに、どうしたの・・・」 兵「はっ!黄布党が街への襲撃を企てているとの情報が入りまして、先ほど出撃命令が!」 ち「ん、了解、ごくろーさん。襲撃される前に片して来いって訳か」 そいじゃ行きますか、と意気込んで門の前に行くと慌しく動く兵達でごったがえしている。 さすがによく訓練された兵だ、ちゃくちゃくと出発の準備をしている。 ち「おーおー、夏侯淵隊の御出勤だ、秋蘭も大変だよ」 秋「他人事みたい言わないでくれるか・・・?」 ち「ありゃ、もう来てたの?」 秋「寝付いたところを叩き起こされたよ」 ち「野暮だねぇ、言ってくれりゃあオレが優しく起こしに行ってあげたのに・・・」 秋「ほ、北郷、そんな」 ち「冗談だよ」 秋「・・・まぁいい、北郷隊の準備はいつ終わる」 ち「ま、ぼちぼちとは進んでるんだけどね、夏侯淵隊と一緒に出発ってのは無理そうよ」 真「ほらさっさと準備せんかい!」 沙「こらーうじ虫どもー!キビキビ動くのー!」 凪「申し訳ありません隊長!こうなったら自分達だけでも先に出撃を!」 ち「はやるな凪、お前らだけ何をしようってんだ」 凪「しかし!」 ち「御覧の通り、戦意だけは旺盛だからさ、準備でき次第追いかけるよ」 秋「そう願いたいものだな、夏侯淵隊準備できているか!でるぞ!!」 ち「・・・肩の力は抜かんとなぁ」 試しに肩を回してればコキコキと音がする、こりゃぁコってるなぁ side 凪 夏侯淵隊から遅れること数刻、兵の情報によれば、夏侯淵隊は苦戦しているらしい・・・ だが所詮は黄布、我等が援軍として駆け付ければ一気に殲滅することができるだろうと思い。進言した 凪「隊長!進路を変えて、この先の邑を越えて秋蘭様に合流すべきです!」 ち「今から変えたって敵と邑で鉢合わせちゃうよ、凪は市街戦がやりたいのか?」 凪「いえ、自分は只純粋に速やかに戦闘を終わらせるべく・・・」 ち「目に見えるぞぉ。飛び交う氣弾、吹っ飛ぶ民家。邑のあった場所は更地になるぞ」 凪「じ、自分がそんな人間に見えますか!?」 ち「現に一回やったじゃない」 蒸し返すこと無いじゃないですか・・・沙和と真桜まで肩を震わせて・・・ 真「ひぃ、ひぃ、あ〜オモロ、話せる隊長やで」 沙「隊長〜」 ち「なんだ沙和」 沙「一般市民の生命財産を守る観点から市街戦を避けるのは分かりますけどー・・・   このままの進路で進んだら、ちょうど有名で大っきな寺院があるのー」 ち「言われんでもわかっとるよ」 沙「それらに対する配慮はどうするのー?」 ち「傷を付けるな」 凪「・・・・・・・・・あの、それだけですか?」 ち「それだけ!」 あっけらかんと言ってくれる 真「無茶や!」 沙「華琳様達と初めて会った時は秋蘭様が居たけど、私達だけの実戦は初めてなの!   しかも相手は秋蘭様も手こずる相手なの!周りにまで気を配るなんて・・・」 ち「無理なのは分かっとんの。けど世間様の手前、"周囲に被害を与えてもかまわん"とは言えんでしょ」 真「だったらアレは建前やったん?ほんなら凪の言ったとおり、支援に行くのが正解だったんじゃ・・・?」 ち「夏侯淵隊にはせいぜい苦労をしてもらおう」 凪「み、見殺しですか!?」 ち「秋蘭達には悪いけど、今回だけは外れを引いてもらわにゃならん   彼女達には我々の花道を作ってもらう」 凪「そんな・・・」 ち「文官達や正規兵達の中には、お前達の資質を危ぶむ連中も多い   そういう連中に対する格好の"実演"の機会がいきなりやってきたんだ   熟練ぞろいの夏侯淵隊ですら手こずった相手を、先日までどこぞの邑の小娘だったオマエらの隊が退治する   痛快な筋書きだろ?」 真「そりゃまぁ、退治できれば・・・」 ち「退治するんだ、後が無いと思え」 へらへら笑っていた隊長が一瞬だけ、真顔になった。しかしすぐにだらしない表情にもどし、語り始めた ち「我々にまず必要なのは華々しいお手柄だ、警邏隊兼正規兵見習いの有用性を認めさせる事ができりゃ、   これから配備される半端者や落ちこぼれ、敗戦兵に改心した盗賊だった奴でも、生きる希望が沸いてくるってもんだよ」 沙・真「「半端者・・・落ちこぼれ・・・」」 ち「幸い、夏侯淵隊は苦戦に陥っとるらしい。ここまでは筋書き通りだ」 真「幸いって・・・」 凪「なんかこう・・・、やり方が悪どくありませんか?」 ち「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 急に黙り込んだ隊長は、胡散臭い表情を更に胡散臭くし ち「皆で幸せになろうよ」 とのたまった 真「ど、どこまで本気やねん・・・このおっちゃん・・・」 戦慄する真桜に、私はかつて無い同意の念を混めてため息をついた 兵「伝令!あと数刻で見敵します!」 ち「はい、ごくろうさん   話はここまでだ、いつでも戦闘体勢に入れるよう準備にかかれ!   オマエ等と部下の兵達が魏武の勇者だって証明して来い!」 「「「はっ!」」」 ─────────────こうして、北郷隊の三羽烏としての初陣は幕を切ったのだった。 ────おまけ───── 秋「おい、北郷」 呼びかける私に振り返り ち「大変だったね」 いけしゃあしゃあと答えてくれる ち「今度、飯でも奢るよ」 まったく・・・・ 秋「悪党め・・・」 せいぜい豪華なところで奢ってもらおうか──────────