反董卓連合軍が洛陽を陥落せしめてから早二ヶ月───。 誰もが予想したとおり、大陸は群雄割拠の時代に突入した。 北では袁昭が公孫賛を滅ぼし、その隣では曹操が着々と力を養い牙を磨く。 先の水関での先鋒の功により、徐州の州牧に任ぜられた劉備はその理念通りの善政をしき、 民の人気を高めていた。 そして───孫策率いる呉も、ついに袁術より独立するための最後の仕掛けを行っていた。 「仕込みはほぼ完了。決行の日取りは伝えているから、そろそろ袁術に一報が届く頃ね」 「ふーん。ま、細かい事は任せるわ」 いつものように庭園の東屋で軍議が行われている。 議題は孫呉独立への最後の詰め───つまり、袁術に対していつどのようにして叛旗を翻すかという策についてだ。 もちろん周囲には思春や明命の配下の者をつけ、万が一の聞き耳にも用心している。 「ところで、さっきの報告にあったそのその呂蒙って子。本当に信用出来るの?」 そう言って雪蓮は冥琳から受け取った書簡に改めて目を通す。 そこに書かれていたのは呂蒙という人物についてだ。簡単な素性、そして冥琳の備考が添えられいる。 その文によれば……玉の原石、とある。 「まだ未熟ではあるが、磨けば光る。中々見所のある子よ」 雪蓮の経験上、冥琳がここまで人を褒めるのは珍しい。 そしてその目が狂っていた事もまた一度として存在しない。 それだけその呂蒙という人物が優秀であるという事だろう。 「なら、私に否はないわ。…そうね。その子は蓮華の片腕にしましょう」 「ああ。そうしよう」 「今後の呉を担う人物よ。……大切に育てなさい」 独立を果たした後も、万が一、自分達が死んだ後も呉と言う国は残る。 そのために後進の育成は欠かせない重大な国事であった。 「ああ。分かっているさ。……さて、あとはこちらの状況が動けば…」 「いよいよね…」 天を見上げながらの呟きに重なるように館の外から複数の馬蹄が聞こえてきた。 どうやら、城の方に向かうらしい。 「すごく慌ててたみたいだけど…なにかあったのかなぁ?」 雪蓮と冥琳が離してる間、退屈しのぎに屋敷の外を眺めていた一刀が雪蓮に駆け寄りながら問いかける。 「うむ。待ちに待った一報我らの工作が成功した……ということだろうな」 「ふえ?」 「ま、一刀にはまだ分からないかな?でもね、これだけは確かよ…」 雪蓮は一刀の髪を優しく撫でながら笑う。 「私たちの戦いがいよいよ始まるってこと」 「僕たちの…たたかい…」 「そうだ。……雪蓮。ここから先はあなたの演技に掛かってるわ。頼むわよ」 「了解」 力強く雪蓮は答え、袁術の屋敷へと向かって歩き出す。 「母様…がんばって!」 恐らく何を頑張るかも分かっていない一刀がぎゅっと拳を握り、応援してくれている。 雪蓮はそれを笑顔で見ながら、 「ふふっ…孫伯符の一世一代の名演技…見せてあげるわ!」 (とは言ったものの…相手がこれじゃあねぇ) 雪蓮は心の中で盛大なため息を付く。 目の前では張勲がご丁寧に笑顔で戦況の説明をしてくれている。 その内容は、不作と税の重さに耐えかねた農民の反乱だ。 江東の各地で発生したこの反乱は、各地の農村や町を占拠しつつ、 その数を増やしてこの城に向かってきている。 孫策にはその鎮圧に向かってもらいたい。 それが張薫の───いや、袁術が持ってきた命令であった それも、何の制限も掛けずに、だ。 (ここで私たちの手綱を手放すという事が、どれだけ危険か分かってるのかしらね?) まあそもそもそれが分かっていれば、雪蓮たちがこの状況に持っていくことも出来なかったかもしれないが。 ───それにしても、余りと言えば余り過ぎる……。 雪蓮は自分が英雄であると多少は自負してるし、武人として堂々と知略武勇両面で戦いたいという思いがある。 しかしこれでは張り合いが無さ過ぎるというものだ。 「それでぇ…もちろん行ってくれますよね?」 「はぁ〜…」 「あれ?どうかしましたか?」 「いや、張り合いがない相手って、本当に疲れるだけだなぁってね?」 「おおー。英雄とか言われていい気になってる孫策さんらしいお言葉ですねー♪」 「……」 一瞬、絶句してしまった。 (か、一刀になんて言おうかしら…) 雪蓮としては、一世一代の演技だとか、私たちの戦いだとか…あれだけ大見得を切った手前、もう少し格好の一つも 付けたいところなのだが…。 「うんうん♪暴徒なんて張り合いがない…その気持ち、よーく分かりますよ?」 相手がこの調子ではその場面も無い。 何せ、こちらの行動に何の警戒も持たないのだから。 「ですが袁術様のご命令ですので。すぐに出陣してもらえますか?」 「……了解。全ての兵を連れて行くわ。問題ないでしょうね?」 「相手は十万人という話ですからねぇ。当然問題ないですよぉ」 「了解。…袁術に首を洗って待ってなさいって伝えて」 「はぁ〜い♪」 そういうと張薫はニコニコしながら軽い足取りで戻っていく。 完全にこちらを信用しているのだろう。その後姿はまるでもう戦に勝ったかのよう踊っていた。 「…阿呆だな」 それを見ながら冥琳が呆れた様に呟く。 「最後の皮肉にも反応が無いとはね…。というか、私の言葉の意味を分かってるのかしらね?」 「まあ上がお馬鹿さんなら下はもっとお馬鹿さんになるというお手本ですねぇ〜」 三者三様、どれも酷い評価であるが、事実であるのだから仕方が無い。 「いい一刀?ちゃんとお勉強しないとああいう人間になっちゃうのよ?」 「そうだぞ。常識と良識を勉強しないと、あのような馬鹿になる」 「み、みゅう…しょうじんします」 いつのまにか教育ママたちの矛先が自分に向き、一刀は小さくなりながらごまかす様にお茶をすする。 「ま、袁術たちをコケにするのはそれぐらいにして…。各自、移動の準備を始めてちょうだい」 「ああ。準備が出来次第、出陣するとしよう」 そう言って、皆慌しく動き出す。 穏は兵站を。思春と明命は部隊の編成を。 そして全てを統括指揮する冥琳といった具合に、着々と素早く全てが進んで行く。 「そ、それじゃあ僕もお手伝いを…」 「っと、一刀はこっち♪」 「ふえ?」 何か手伝おうと思い、席を立とうとした一刀を雪蓮が呼び止める。 その手には、どこから取り出したのか穏が作ってくれた算術の指南書が握られていた。 「一刀はしばらく私とお勉強♪」 「で、でも母様も忙しいんじゃ…」 「こういう時に総大将である私の仕事って意外と少ないの。それに、最近皆忙しくてお勉強してないんでしょ? しっかりやらないと袁術みたいになっちゃうわよ〜?」 「はう!?そ、それは嫌かも…」 「だーかーらー…母様とちゃんとお勉強しましょうね?」 「はーい…」 それから二時間程度の間───慌しく出陣準備が続くさなかで、九九を数える総大将とその子どもという 奇妙な光景が見られたという。 「うう…六五さんじゅう…六六…さんじゅうろく…」 「ほう。もう六の段まで進んだか。中々早いじゃないか」 冥琳が横で九九を暗誦していた一刀を褒める。 拠点を出発した一刀たちは、一路江東への道中にあった。目的は農民の反乱を鎮圧するためである。 「ろくしち…しじゅう…しじゅう…ねえねえ、本当に農民のひとたちをとせんそうするの…?」 「六七、四十二だ。そうだな。我々は農民と戦う訳ではない」 「ほえ?どういうこと?」 「つまり、反乱というのは偽装…なのですよぉ」 冥琳たちが立てた作戦はこうだ。 まず各地に農民に偽装させた兵を潜り込ませ、一斉に蜂起させる。その際、数は出来うる限り大きく誇張し、 またその噂を流す。 もちろん袁術の事だから、孫策───つまり雪蓮に鎮圧を命じるだろう。 そしてその命令に従った振りをして反乱軍と合流。 一気に反転し袁術を撃破、そして独立を取り戻す───。 「とまあ、大まかに説明すればこの通りなのだがな…」 「こんな策、袁術さんにしか通用しませんからねぇ」 他の諸侯……これが仮に曹操あたりであれば即座に自らの手で鎮圧しているか、 雪蓮たちに鎮圧させたりはしないだろう。 「えーっと、つまり、えんじゅつさんって…」 「あら、素直にお馬鹿さんって言って良いのよ一刀?その通りなんだし♪」 「にゃはは…」 そんな話をしていた時、 「前方に軍勢を発見!旗は王!そして孫家の牙門旗!黄蓋様と蓮華様です!」 前曲を指揮していた明命から報告が入る。 「よし。興覇、どこに袁術の目があるか分からん。警戒は怠るなよ?」 「はっ!」 「三人姉妹久しぶりの合流かぁ。…ふふっ、楽しみね」 「へ?まだおねーさまがいるの?」 一刀は不思議そうに首を傾げる。 「そうよー。歳は一刀よりちょっと上かな?弓腰姫とか呼ばれるお転婆さんだけどね。とっても可愛い妹よ?」 「ふえー…」 「きっと一刀の事気に入ると思うわ。…ま、やりすぎないかちょっと心配だけど」 「な、なにを…なの?」 「少々悪戯好きな方でな。……まあ喰われない様に気をつけることだ」 「ぼ、僕食べられちゃうの!?」 一刀の脳内には、自分と同じぐらいの女の子ががぶがぶと自分の身体を丸呑みにして行く光景が浮かんでいる。 ───だ、大丈夫だよね? ぶるりと身震いし、一刀は不安そうに前方から近づいてくる軍勢を見た。 「やっほー!私が小蓮だよー!シャオって呼んでね?」 「よ、よろしく…ほ、ほんごうかずと、です」 元気良く挨拶する小蓮に一刀は控えめに答えた。 合流するなりいきなり一刀の目の前に来た小蓮は、一刀の匂いを調べるように周りをぐるぐると回ると、 そのまま抱きついてきた。 「うん♪ずっと想像してた天の御遣いっていう感じ♪私よりちょっと年下っていうから、まだ赤ちゃんかと 思ってた」 「僕、赤ちゃんじゃないもん…」 一刀は少し拗ねた様に頬を膨らませる。 雪蓮にはそんな一刀の様子もおかしいらしく、クスクスと笑って頭を撫でた。 「よしよし♪えへへー…あなた、雪蓮お姉様のこと、母様って呼んでるんだよね?じゃあ…私の弟だね!」 「えと…じゃ、じゃあ…小蓮おねーさま?」 「違う違う。シャオおねーちゃん」 「…シャオおねーちゃん?」 「はい♪良く出来ましたー♪」 そう言うと、小蓮は一刀をぎゅっと抱きしめた。 女の子特有の甘い香りがして、一刀はちょっとドキドキしてしまう。 そしてそんな様子を少し離れたところで雪蓮と冥琳が見守っていた。 「…あらあら、一刀ってば照れちゃってるわよ冥琳」 「一刀にとっても小蓮様にとっても同年代の人間というのは殆ど居ないからな。 特に甘えたい盛りに引き離されて軟禁されていた小蓮様は、よほど嬉しいに違いないさ」 小蓮も孫家の人間だ。これまで軟禁状態であった事には変わりはない。 そして小蓮は、まだ物心つく前に引き離された身である。 故に自分の弟が出来た様で嬉しいのだろう。 「んー…がぶー♪」 「ふえ!?な、なにしてるのー!?」 「これでよし!もう一刀はシャオのものだからね!」 「な、なんでさー!」 「だってー、もうシャオががぶーしたもーん!」 そんなやり取りを見ていた雪蓮が、突然深刻そうな顔をして冥琳を見る。 「…ねえ冥琳。もし一刀が正式に私の養子になるとして…初めに胤を入れるのがシャオだとちょっと拙くないかしら?」 「お前が何を想像しているのかは知らんが、問題なかろう」 冥琳が呆れた様にため息を吐く。 「大体、初めからそのつもりだろう?」 「まあそうなんだけどね?…やっぱり母親としては息子の恋路が心配になるじゃない?」 「だから、お前は何を想像してるんだ…」 とその時、じゃれ合う一刀と小蓮のところに駆けてくる人影があった。 「一刀!一刀は居る!?」 息を切らせて走ってきたのは、この策のためにこの三ヶ月も各地を回っていた蓮華だ。 「あれ?蓮華姉様?」 「蓮華おねーさま、ひさしぶり?」 「ああ、一刀…」 蓮華は息が整うを待たず、一刀を見つけると抱きついた。 それまでじゃれついていた小蓮が、「がうー!」と抗議の声をあげる。 「聞いたわよ!戦場で、あの呂布に襲われたって。馬鹿!何で後方に下がっていなかったの!」 「え、えーっと…」 「怪我が無かったから良かったけど…次は死ぬかもしれないのよ?ああ…こんな可愛い顔に傷がついたら…」 「あ、あう…だ、大丈夫だよ?」 「本当に?そうだわ!今度、華陀が来た時に見てもらいましょう!ついでにちゃんと…」 「はーいそこまでー。蓮華もいい加減離れなさい」 見兼ねた雪蓮が強制的に蓮華と一刀を引き分ける。 一刀は安心した様に。蓮華は残念そうに引き剥がされた。 「ね、姉様!私はまだ一刀とお話が…!」 「今ので足りないっていうのはもう病気というか。華陀に診てもらった方がいいのはあなたじゃない?」 「へっ!?わ、私…何か変でしたか?」 「あなた、変わったわね…」 「はっはっはっ!権殿はよほど坊の事を気に入ったらしくてな。ずっと会いたいと仰ってたのじゃよ。 ま、坊の人柄の成せる技じゃな」 頭を抱える雪蓮の横に、豪快な笑いを響かせ祭が並ぶ。 こちらも蓮華と共に工作活動に赴いていたため、一刀たちと会うのは約三ヵ月ぶりになる。 「祭おねーさま!」 「うむ。かず坊も息災でなによりじゃ。…して、あの呂布とやりおうたらしいの?」 一刀はあの日のことを今でも鮮明に覚えている。 涙と鼻水に濡れた顔で、自分は剣を構ええて震えてただ立っているだけだった。 「ううん…違うよ。僕、何の役にも立てなかったし…」 自分がもっと強ければ───あの時、もう少し早く雪蓮を助けられたはずだから。 「かかか!名の有る武将でもあの呂布の前に堂々と立ちはだかる馬鹿はそうはおらん。 ……坊は大した男じゃ。この儂が保障してやるわい」 そう言うといつもの様に祭はグシャグシャと一刀の頭を撫でる。 一刀はくすぐったそうに「ふみゅう…」と鳴いた。 「お帰りなさい。…で、首尾はどう?」 「上々じゃ。農民からもかなりの志願があっての。訓練に少し手間取ったが…優秀な軍師がいたお陰ですこぶる捗ったわ」 「優秀な軍師?」 「おっと、紹介がまだだったの。…亞莎!」 「は、はひ!」 祭が名前を呼ぶと、後ろから茶髪の片眼鏡を掛けた少女が歩み出る。 「名は呂蒙。字は子明。今回の蜂起もこ奴の発案じゃよ」 「は、はじめまして!」 呂蒙は孫策に頭を下げる。かなり緊張しているようで、呂律が回っていないらしく、ところどころを噛んでいた。 「英雄である孫策様にお仕え出来るとは光栄至極です!」 「そんなに緊張しなくてもいいのよ。呂蒙…これからもよろしくね。私の真名は雪蓮。あなたの真名も私にくれる?」 「は、はい!真名は亞莎と申します!」 「良い名ね。亞莎…あなたの命、私が預かる。力をかしてちょうだい」 「は、はひ!」 そう言ってまた呂蒙は頭を下げる。 その姿が何故だかおかしくて、雪蓮はクスクスと笑った。 「そうそう。もう一人紹介しておくわね。一刀、こっちにいらっしゃい」 雪蓮は、また蓮華に抱き付かれている一刀を呼ぶ。 少し疲れた様子で一刀はこちらに走ってきた。 「…大丈夫?」 「にゃ、にゃんとか…。えと、母様。この人はだぁれ?」 「あ、あの…」 「呂蒙よ。こっちは一刀。…そうね、私の息子ってとこかしら?」 「ふえ!?っ……ぁ、う…はう」 「よろしくね!呂蒙おねーさま!」 「……っ!」 一刀は笑顔で手差し出したのだが、呂蒙は中々握ろうとしない。 「へ?」 てっきり快く握ってくれるものだと思っていた一刀は、きょとんとした様子で呂蒙を見た。 「……っ!」 「じー」 「うう…」 どうやら、目線をあわす事を嫌っているらしい。 「…僕、何か悪い事しちゃったかな?」 「違うわよ。亞莎は恥しがり屋さんなの。…人付き合いが苦手なんだそうよ」 「わ、私は目付きが悪く…人を不快にさせてしまいますので…」 しゅんとした声で呂蒙がうつむく。 一刀はその言葉を聞いて、少し悩んだ後、 「じー」 「は、はう!?」 呂蒙の顔を覗き込み、やがて、にっこりと微笑んだ。 「僕、呂蒙おねーさまの目…好きだよ?なんだか…キリッてしててかっこいいもん!」 「へ…?」 「それにすっごく優しそうだし。えへへー…ダメ、かな?」 「ダメ、じゃないです…」 そう言うと呂蒙は真っ赤になりながら手を差し出した。 「あ、改めてよろしくお願いしますね。…私の真名、一刀様にお預けします。亞莎って呼んで下さい…」 「うん!よろしくね亞莎おねーさま!」 「ふむ。これで顔合わせは済んだな」 と、落ち着いたところで冥琳が前に出る。 「そろそろ動くかな」 「そうね。…さあ、いよいよね!」 雪蓮は合流を果たした部隊の先頭に立つ。 その後ろには仲間が───悲願のために共に命を掛ける大切な仲間が続く。 「孫呉の民よ!呉の同胞達よ!待ちに待った時が来た!」 雪蓮は剣を抜く。 まるでその先に道を創る様に。 「栄光に満ちた呉の歴史を!懐かしき呉の大地を!再びこの手に取り戻すのだ!」 「おおおおおおおおーーーー!」 兵たちが雄叫びを上げる。それはまるで解き放たれた───まさに雌伏の時を終えた獰猛な虎の様に。 「敵は揚州にあり!我らの誇りと!意地と!力を見せ付けようではないか!」 雪蓮は剣を天に掲げる。 天よ見よと。我らに力を貸せと言う様に。 「これより孫呉の大号令を発す!呉の兵たちよ!呉のために命を燃やし…呉のために死ね!」 前を睨む。 打ち倒すべき敵が、取り戻すべき誇りがその先にある。 「全軍!誇りとともに前進せよ!宿敵袁術を打ち倒し、我らの栄光を取り戻すのだ!」 ここに、孫呉の大号令はついに発せられた。 それは一刀たち孫呉の長い戦いの始まりの合図であり───三国時代の本格的な幕開けでもあった。 ついに時代は動き出す。 その先に何が待つのか……それは誰にも予想出来なかった。